小学校教員5年のキャリアでIT業界に転職できましたので報告します。
- 「教員の仕事に限界を感じる。他の業界に転職したい。」
- 「教員って転職では不利って聞くけど…」
- 「IT業界って専門でやってきた人がやれる仕事でしょ」
30代、SES企業勤めの女性です。
IT事務、社内システム・カスタマーサポート、本社新人教育と経験をしてきました。
そんな私ですが、大学卒業後は5年間小学校教諭をしていました。
授業準備、保護者対応、提出物や成績の管理…
やりがいはあるけど超多忙な公立学校の教員に限界を感じて、未経験でIT業界へ転職した経験談をお伝えします。
転職を考えている教員の方は参考にしてみてください。
小学校教師が未経験のIT業界へ転職するまでの流れ
ではさっそく本題に入ります。小学校以外に別の仕事は完全未経験の私がIT業界に転職するまでの流れを説明します。
やはりそれなりの覚悟はありましたし、準備には時間をかけたつもりです。
教師から別業界に転職しようと思ったきっかけ
大学を卒業してから地元の公立小学校教員として働いていました。教員の業務は超多忙です。
私の場合、在校時間の平均は12時間。長時間労働改善のため、在校時間を記録して目安を超えないような取り組みが自治体でされていました。
それでも日々の業務は終わらず、授業準備やプリント・テストのチェックは持ち帰って仕事をしていました。
平日帰宅後も仕事、土日も仕事。
「仕事はしながら結婚して家庭も持ちたいけど、今の働き方で両立は無理だなぁ…」と感じていました。
教員として働き始めて5年目に結婚。相手は関東に住んでいたので、年度いっぱいでの退職を決め、転居先の採用試験を受けようと準備をしていました。
ところがある日ネットサーフィンをしていると、興味のあった業界の募集広告がでていました。
「せっかく場所を変えるのだから、職業だって変えていいじゃないか」
「私の人生、教員をやらないといけないわけじゃない。いい機会だから職を変えて生活全体を変えてみよう」
と考え、転職活動に切り替えました。
教員をしながらの転職活動は大変だった
教員が仕事をしながら転職活動をすることは容易ではありませんでした。
学級担任や授業数の多い教科担当の先生は平日休みを取ることは難しいでしょう。放課後も突然トラブル対応が入るかも。そんな中、面接のために時間を作ることはできませんでした。
そのため、年度内は転職サイトに複数登録して情報収集をするまでに留めました。
転職サイトには大抵「エージェントサービス」があり、担当者が具体的な話を聞いて企業を提案してくれます。複数登録しておくと、2、3人から意見を聞くことができ、視野が広がると思います。
しかしそこで言われたのは、「教員は転職市場ではキャリアがないから、数多く応募しないと決まらないだろう」ということ。
そう、教員は一般企業にとってつぶしの利くキャリアではないので、転職市場では不利な方です。
どちらかというと「企業を選ぶ」立場ではなく「企業から選ばれる」立場です。
私はこの言葉を受けて、派遣社員も視野に入れ、派遣紹介サービスに5社ほど登録しました。
離職してから探すとどうしても焦る気持ちが働きますし、一般企業の求人を探すのも初めてで探し方がよくわかりません。
「まずは比較的身軽な派遣社員として勤め、一般企業の雰囲気、仕事内容を見てみよう」と考えました。
結果的に始めは派遣社員として働くことになりますが、半年後再度転職活動を始め、教員を離職してから9か月後、正社員としてIT業界で働くことができました。
派遣から正社員を目指した転職活動を開始
教員を離職し4月から本腰を入れた転職活動は、派遣社員に絞って探した結果、2週間で「未経験可の会計事務」の職に就くことができました。
派遣社員として働き始めて半年後、そろそろ次のアクションを取ろうと思い、正社員に絞って再度転職活動を始めました。
正社員を目指した2回目の転職活動は、教員から派遣社員になった1回目の転職活動よりも余裕を持つことができました。
この二つが成功の理由として挙げられます。
4月に登録していた転職サイト・派遣紹介サービスはすべて退会していたので、9月に再度転職サイトに登録をしました。
この時も総合的に紹介している大手サービスに、3社ほど登録しました。実はこの時はエンジニア専門サイトなどには登録していません。
教員は履歴書に書けるスキルがほとんどないと思ったので。
経験を生かした転職活動をしようとすると、教育業界の他の職に就くことになると思います。
業種を変えて職を探すならば「未経験」として探すことになるので、とにかく視野を広げていろんな求人を見ることをおすすめします。
その結果、思ってもみなかった仕事が見つかったり、見落としていた就業条件に気づくことができたりします。
私は初めからIT業界に絞っていたのではなく、いろんな求人を見ていった結果IT業界にたどり着きました。
IT企業との出会い
ウェブでの情報収集、エージェントに探してもらうことに加え、ちょうど転職フェアが開催されていたのでそちらに参加しました。
フェアは情報収集のつもりで参加しましたが、結果的にいい企業に巡り合い、正社員として入社することができました。
フェアには履歴書・職務経歴書を準備して参加します。ブースに座って担当者に書類を渡して面談をします。
採用面談ではなく、お互いにどんな企業・どんな人物か知るための面談です。些細な事も聞きやすい雰囲気でした。
お互いに希望すれば、書類選考なしで採用面接の予約を取ることができる企業もありました。
転職フェアで就業中の求職者も多いことから、定時後や土日に面接をしてくれる企業も多くありました。
私は小売、保険、服飾といくつか見て回りましたが、勤務時間が希望に合うところはなかなか見つかりませんでした。
フェアの事務局からおすすめされた企業がIT系で、自分には縁がないと思いつつもとりあえず行ってみました。
話を聞いてみたところ、未経験可・土日休・残業少と、求めていた条件でした。
それでも「ITは学校で学んだり業務で携わったりした人ができる職種」と思い込んでいた私は、ブースの担当者に「本当にITに関わったことはなくて、自分にできるとは思わないんです」と想いを話しました。
「うちには元美容師や元出版で、ITとは全くかかわってこなかったエンジニアがたくさんいる。そういった社員もそれぞれ立派に活躍しているから、あなたにもできるよ」といった言葉に後押しされ、未経験でIT企業に挑戦しようと思いました。
その場で採用面接の予約を取りました。
書類選考と面接、内定までの流れ
採用面接には履歴書と職務経歴書を持参しました。
フェアに持参した書類は幅広い企業に見せる内容だったので、採用面接向けに少し手直しをして臨みました。
現職の勤務を終えた平日、2人の担当者が対応してくれました。
会社の概要、成長計画、未経験の新入社員に求めることを説明された後、自身の経歴、現在のITの知見などを聞かれました。
未経験者が困る質問に「ITの知識、技術の質問」があると思います。
ここは変に知ったかぶりなどせずに、わかることだけを答え、わからないことは「わからない」と答えることをおすすめします。
面接で聞かれたこと
私の場合、「これまでの業務で扱ったことのあるOS、ソフトを教えてください」「Excelの関数で知っているものを答えてください」といった質問をされました。
それぞれに対して「OSはWindows、ソフトはWord、Excel、PowerPointを使ったことがあります」「Excel関数はSUM、AVERAGE…くらいです」と答えました。
「Windowsは10?」「IFとかわかりますか」と返ってきたのに対し、「職場は7、家では10を使っています」「IFは、なんとなく」といった感じに伝えました。
採用時の月給などもはっきりとお伝えいただきました。
最後は社員交流の活動についてなど、和やかなムードで終わりました。
担当者2名が5分ほど席を外して戻られると、その場で内定の旨をお伝えいただきました。
返答に2週間ほど期間をいただき、2週間後内定受諾の連絡をして正式採用となりました。
IT転職前にあった二つの不安
転職に関して不安に思っていたことが2つほどありました。
1つ目は「教員の経験は転職市場で有利にならない」こと。
これは仕方がありません。
だからと言って一般企業への転職が不可能かというと、決してそんなことはありません。
未経験OKのところをとにかく探していきました。
派遣で一般企業の経験をしていたことも、自信につながったと思います。
2つ目は「ITは初めてなのに自分にできるのか」という不安です。
これは担当者と話を重ねることで解消されました。
面接をした会社は未経験者を大量採用していること、業務にあたる際の実際を話していただけたこと、「未経験は何の欠点にもならない、大丈夫、できる」という言葉をいただいたことで、IT業界に挑戦する決心がつきました。
実際に業務を始めると自分に合うことが多く、ほぼストレスなく働くことができています。
IT転職が決まった後にやったこと、仕事の変化について
入社内定から入社までのおよそ3か月は、資格取得に励みました。
採用面接のときにすすめられていた「ITパスポート」略して「Iパス」という資格です。
『iパスは、ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。』
Iパス取得を通して、IT業界で働くうえで基礎となる知識が身に付きました。
一般的な知識で解ける問題もあるので取り組みやすいと思います。
その他入社の際に必要な事務書類を揃えました。
現職については内定のタイミングで派遣担当者に退職の意向を伝え、一か月かけて引継ぎを行いました。
私が選んだ企業はSES企業です。正社員雇用でありながら、契約先の現場に派遣されて職務にあたります。常駐派遣といいます。
入社後一か月間はビジネスマナーとITの基礎研修をしながら、現場を決める営業活動を担当営業の方と行いました。
この営業活動の際に、希望の働き方を担当営業の方としっかり話し合うことが大切だと感じました。
私の場合、以下のような条件をエージェントに伝えていました。
- 未経験可
- 通勤は片道1時間まで
- 残業は少ない現場
結果、一か月以内に以下のような現場に決まりました。
- 社内インフラ、カスタマーサポート
- 通勤片道30分
- 残業は月2時間程度、つまりほぼなし
希望していたよりもいい条件の現場に入ることができました。
転職先での業務について
常駐派遣先での業務は、社内システムに関する問い合わせ対応がメインでした。
お客様では操作不可能な部分について依頼メールをいただき、会社のシステムを操作して解決する内容です。
初日は組織について業務に関係する部分のレクチャーがありました。
レクチャーを終えるとマニュアルとテスト環境を伝えられて、熟読して業務を覚えました。
テスト環境とは、業務に使用しているシステムと同様の、業務には使っていないものをいいます。
マニュアルを読むと同時にテスト環境を操作することで覚えていきました。
そのうちにお客様から問い合わせメールが入るので、簡単なものから対応していきます。
始めは先輩の指示を受けながら進めていきました。
初めて対応するものなどは、テスト環境で動作を試してからお客様に回答していました。
慣れてくると一人で進めていましたが、わからないことはいつでも先輩に聞くことができる雰囲気でした。
これは学校とはずいぶん環境が違いました。
業務上苦労を感じたことは特にありませんでしたが、強いて言うなら、問い合わせが少ないときや、自分が対応できる問い合わせがないときにはやることがなくなります。
そういったときはマニュアルや業務メモを見返して、よりスムーズに多くの仕事ができるよう知識を蓄えていました。
こればっかりは仕方のないことなので、割り切ることが大切です。業務は工数表に記録し、毎月報告していました。
教師からIT転職を経験して感じた働き方の違い
配属されたチーム全体は雰囲気がよかったです。いい意味でサバサバしていて、自分に合っていました。
教員時代を振り返ると、報告から雑談につながって時間を取られたり、忙しいのに学年打ち合わせが始まったりして、「全体のペースに自分の仕事を合わせに行くことが多かったなぁ」と思います。
また児童、保護者、同僚、管理職と多くのトラブルや複雑な人間関係があり、その分悩みも多くありました。
対してこの時の職場は、少人数のチームだからこそいい雰囲気で、人間関係の悩みなく業務にあたることができました。
昼休憩の1時間は、もちろんちゃんと休憩できます。
昼食が終わったら資格勉強の本を開いたり、仮眠を取ったり、外を歩いて気分転換をしたりできました。
何よりも嬉しかったのは、一日8時間勤務、早出は皆無、残業は月に2時間程度、プライベートの時間がぐんと増えたことです。
30代の年収は教師と比べてもそん色はないと思います。
教員の時のように業務の悩みが解決しないまま休みに入る…といったこともありません。問い合わせ対応はほとんどがその日のうちに完結していました。
一方、家で勉強する時間は増えました。
IT業界では資格がものを言います。
現場を変わるときに資格を持っていることで、選ぶ幅が広がり、収入アップにもつながります。
逆に教員のように、長く勤めているだけでは収入は増えません。
年齢とともに収入を上げたいのであれば、勉強して資格を取っていく必要があります。
日中は時間内に集中して業務にあたり、夜や休みの日はリフレッシュしつつ、資格勉強を少しずつ進めるようになりました。
教員を辞めて後悔している?
たまに「教員の時は毎日体を動かして、生き生きとしていたなぁ」「教科指導を通して好きなことに関わっていられたなぁ」と振り返ることはあります。
しかしそれ以上に、業務の多さ、責任の重さにつぶされそうになっていました。
仕事を家庭に持ち込み、家庭内不和が起きていたかもしれません。なので、私は教員という職を離れて正解だったと思います。
家族との時間を確保し、好きなことは趣味として楽しみ、休みの日にはアウトドアで体を動かし、生き生きと過ごしています。
また、教員の経験をかってくれた上司が新人教育の業務を与えてくれたため、これまでのスキルを生かすこともできています。
教員を辞めた後悔というのはほとんどありません。
おわりに:教員からIT業界への転職を考えている人へ
IT業界はまだまだ人材のニーズが多く、狙い目です。
ITの知見がなくてもできる仕事はたくさんあるので、「自分には無理だから」とあきらめずにとにかく入ってみることをおすすめします。
長時間でもバリバリ働いて稼ぎたい、定時で上がってプライベートを大切にしたいなど、働き方を選べる余地もある業界です。
一方、職についても勉強は続くので、自ら取り組める人でないと後々辛くなると思います。
そのため、すぐに正社員として働き始めるのではなく、派遣やセミナーで業界を覗いてみるのも一手です。
しっかりと下調べをしてちゃんと行動にうつすことで、きっといい転職ができます。これを読んでくださった皆さんが、いい結果を手に入れられることを願っています。
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