20代、30代の皆さんは、非常勤講師のから専任の教員になることを理想としていますか。それとも、いずれは教員という仕事を辞めて、他のことをしたいと思っていますか?
20代、30代の人はまだまだ未来を見据えて考える必要があります。
しかし、正式な仕事ができる年齢は、2021年現在では60歳までです。
ほとんどの業界は60歳を定年とし、その後の保証はありません。それは非常勤講師ならなおさらです。
40代、50代になると、ずっと非常勤講師を続けることに不安を感じるようになります。
50代の非常勤講師は定年後の生活を視野に入れるべき
私立学校の非常勤講師は、いわゆる非正規雇用です。
しかし、一般企業の非正規雇用と異なるには「資格職」ということです。これは看護師や医師と同じです。しかし、看護師や医師との違いは、病院と学校の大きな違いです。
同じパートや非正規雇用でも、病院の多くは社会保険に入ることができます。]
その場合、65歳未満の定年なら雇用保険の対象で失業保険を受け取ることができます。さらに、看護師や医師は時間給制のため、働いただけの給与を受け取ることもできます。
しかし、学校の非常勤講師は、学校によって社会保険に入ることができる学校とできない学校があります。
そのため、65歳未満で仕事を辞めてしまっても失業保険をもらうことがないのです。
それ以上に、正規雇用の教員が60歳を超えると、その学校で非常勤講師となることが良くあります。
しかし、定年で一度退職することで、退職金を受け取ることも私学共済による年金を受け取ることもできます。
これは、ずっと非常勤講師を続けている人との違いです。
そのため、50代の人はもちろん、40代後半に入った非常勤講師の先生は、老後のために準備を始める必要があります。
非常勤講師は老後の年金対策が重要
非常勤講師の先生のほとんどは退職金や厚生年金、私学共済年金を受け取ることはできません。
一般的な国民年金だけでは、満額でも月6万円ほどです。しかも、年金から「健康保険」等が支払われると、5万円以下になる場合もあります。
これは2021年現在のため、現在50代の人はさらに少なくなる可能性があるということです。
これは教員だけでなく、フリーランスの仕事をしている人は、全て同じです。
そのため、ほとんどの人は可能な限り仕事を続けます。おりしも教員不足の昨今、70歳を過ぎた先生でも現場に立つことが可能です。
非常勤講師の先生はもちろんですが、専任の先生でも非常勤講師として70歳くらいまで教壇に立っています。
50代から専任講師への採用の可能性について
40代に入ったばかりの非常勤講師の中には、まだまだ専任への夢をあきらめきれず、公立の採用試験にチャレンジし続ける人もいます。
特に、倍率が落ちたここ数年はねらい目と、頑張る40代の先生が増えています。
何歳でも公立の正規教員となれば、公務員となりよほどのことがなければ安定業です。
退職金も年金も保証されます。また、教員不足の近年各都道府県の採用試験の採用試験の受験年齢のハードルも下がり、中には59歳まで可能という自治体もあります。
これは、40代、50代まで非常勤講師を続けている先生にとって朗報と言えます。
また、試験内容も筆記の他に「模擬授業」を取り入れることで、即戦力の教員として採用する意向となっています。
50代になったばかりで、筆記試験の不安がない人は、こういった道を考えるのも良いかもしれません。
万年非常勤を前提に継続を前提に人生プランを練りなおそう
まずは人生85年のための準備を始めましょう。
年金をもらえるサラリーマンの皆さんでも、「老後のために一人2000万円を用意しましょう」と言われています。しかし、これはサラリーマンだけでなく、自営業、非正規雇用の人、専業主婦でも同じことです。
実際は人生110年とも言われており、この金額では足りない試算がでています。
今の政治家も高齢者ですし、今の発言内容が現実に来る頃は政界に存在しない可能性が高いです。
票取りの甘い言葉を信じて楽観視するのは危険です。
そこで、万年非常勤講師でもできる準備を始めます。
- 株や国債、外貨で資産運用をする
- 年金型保険に入る
- 60歳を超えても契約を続けられる学校を選ぶ
- 高齢になっても使える資格を取る
- 健康な体を作る
最期の一つを見て「?」となる人はいるかもしれませんが、私たちは生き物です。
そして非常勤講師は在職中に病気になっても正規雇用の教員と異なり「保証」がありません。
そこで、長く続けられる丈夫で健康な体は絶対に必要なものです。
それは、②の保険にもつながります。保険はもったいないと思うかもしれませんが、保証がない以上、私的保険に加入をしておくことはおすすめです。
まずは資産運用について可能性を探る
日本では、戦後に作られた年金制度によって高齢者が守られてきました。しかし、それは戦後間もないころに作られた古い制度です。
当時は、10人の働き手が1人の高齢者を守ることができました。
戦前は農業などで仕事をしていた女性が家庭を守るだけの存在になっても、年金がつきるなんて誰も想像をしていませんでした。
しかし、平成、令和と時代が流れるうちに、寿命が延び子供の数が減り、女性が再び仕事をするようになります。
現段階で「専業主婦」は年金の支払いを免除されているのに、自営業者と同じだけの年金を受け取ることができます。
さらに、配偶者が亡くなると遺族年金も受け取れます。
これは、サラリーマンを増やすことを良しとしていた昭和40年代からバブル期に作られた制度のままだからです。
働き方が代わり、フリーランスのシステムエンジニアやブロガー、若い人の企業家が増える今、古い年金制度の見直しをする時期なのかもしれません。
とはいっても、50代の皆さんにはもう時間がありません。
自分で2000万円を用意しろ、といまさら言われてもと悩んでいる人もいることでしょう。そこで、テレビなどがおすすめしているのが「資産運用」です。
社会の中でも「公民・経済」の先生や家庭科の中でも「家庭経済」の先生以外で資産運用を学校で学ぶことはありません。
そのため、自分で学ぶしかないのです。
日本では年金があるため、あまり資産運用に前向きな高齢者はいません。
しかし、アメリカやカナダは自立自助の国であるため、国民全体が若いうちから資産運用に前向きです。国民全体が「株価」に敏感です。
し年金が不安定になった昨今、日本でも初心者でも取り組める資産運用が始まっています。
テレビなどで取り上げられるものには、詐欺まがいのものもありますが、多くの人がすすめているのが「iDeCo」「NISA」といったものです。
中でも資産運用を進める情報番組では「iDeCo」をすすめています。
確かにiDeCoは長期運用を目的にする資産運用では、最も安定しリターンも大きいとされています。また、iDeCoは所得税の減税対象となるため、年末調整の時に申告することができます。
しかし、iDeCoは60歳満期制で60歳になると解約をすることになります。そこで、金融機関ではiDeCoを解約した後の資金をNISAに移すことをすすめています。
今回は50代からの準備です。
50歳を過ぎた非常勤講師の場合、運用期間が短いiDeCoは手数料や税金を考えると、増やすほどの利益は出ません。そこで、一番安定しさらに非課税となるのが、NISAです。そして、その中でも50歳からでも安心して利用できるのが、積み立てNISAになります。
もちろん、積み立てNISAでも残りの仕事時間を考えると、50歳の人で10年~、58、59歳の非常勤講師は残りが数年になっている人もいます。
自分が60歳を過ぎたときのこと、仕事先が亡くなってしまった時のことを考えると、50代は安定した資産運用をする最期のチャンスといえるでしょう。
保険による資産運用も可能
iDeCo、NISAよりもおすすめと言われているのが「保険」です。
近年、貯蓄型、年金型の医療保険も増え、たくさんの保険会社が競って「お得」な保険を売り出しています。
中でも病気や大けがの時に保証のない非常勤講師の場合、自分の不祥事に助けてくれるのが自分で加入する保険となります。
40代までの非常勤講師の場合、扶養する家族のために「死亡保険」「医療保険」の戻り率を優先します。
自分が病気やけがで長く入院した時、万が一死亡した時に戻り率の高い、死亡保険や医療保険にしっかりと入ります。
しかし、子育てが終わったり自分自身の老後を考える50代を過ぎると、残りの人生のために貯蓄型にする人が多いようです。
その中でも、死亡保険、医療保険と「貯蓄型」「年金型」の両方を兼ねた「個人年金保険」に入る人が増えます。
個人年金保険の中で人気が高いのが「明治安田生命」の「年金のかけはし」、「住友生命」の「たのしみ未来」など、大手のものが中心です。
保険は種類によって、数千円から始められるものもありますが、老後を考えて「掛け捨て」タイプではないものを選んでみましょう。
60歳を超えても契約を続けられる学校を選ぶ
就職氷河期と言われていても、なぜか人手不足の職業はたくさんありました。
福祉、医療、保育、そして教育です。コロナ禍で医療の大変さがクローズアップされていますが、その陰で人手不足が深刻な状況となっているのが「学校」です。
昭和の終わりから平成の初め、「教員免許」をほとんどの大学生が取得していました。ところが、平成に入って教員のレベルの向上などを目標に、10年ごとの教員免許更新が義務付けられるようになります。
それをきっかけに「持っていても使わないならもったいない」と免許を取得しない学生が増え、平成10年を過ぎるとほとんどの大学で1割以下の学生が修得する程度になりました。
その後、高度成長時代に教員になった人達が「定年」となり、令和になると少子化以上に教員が不足しています。
60代の教員はもちろん、70代、中には80代でも教壇に立つ現役教員もいます。
とはいうものの、年齢とともに体力も落ちますので、現役時代と同レベルの無茶苦茶な仕事を続けることはできません。
そこで、専任だった教員はもちろん、ずっと非常勤講師の先生も、持ちコマを減らしながら教壇に立ち続けることが可能となっています。
ここで、気を付けていただきたいのが「新しい学校」でも採用があるか、というと全ての教科があるわけではないことです。
できるだけ40代、50代のうちに長く勤務できる学校を決めておきましょう。
50代後半になってからでも遅くはありませんが、高齢になってから慣れない新しい学校で仕事をするのは、体力的にも精神的にもなかなか厳しいものです。
そのため、40代後半から50代前半のうちには自分のベースとする学校を決めることをおすすめします。
50代のうちに無期雇用採用の確約を取って60歳になると、その後も継続をお願いされる可能性が高くなります。元気なうちは続けられる学校を選び、決めておきましょう。
高齢でも採用されやすい教職の資格を取る
教員免許を持っているから大丈夫、と思わないでください。人間は何があるかわかりません。そこで、高齢になってもできる仕事の資格を取っておきましょう。
教育の現場を続けたいということなら、常に「教員不足」が絶えない「技術」の免許がおすすめです。
技術はどんな学校でも不足しているため、70代を過ぎた先生が大量にいます。50代ならまだまだ若い、ということで採用される機会は充分にあります。
50代になって子育てや介護にひと段落したら、技術の免許を取ると、「数学」や「物理」での採用がなくても、60歳を過ぎたときに利用することができます。
技術は情報でもカバーすることができますが、高齢になってから新たに情報の免許を取るのは大変なようです。
教育業界は無理、という人が「介護」の資格を取っています。
介護職は若い人材が不足し、ほとんどの施設は50代、60代になります。そこで、60歳を過ぎても採用される可能性があります。
こういった資格を取るために通信制の大学で学ぶのも、50代がラストチャンスです。
健康な体は言わずもがなです。どんな仕事でも「体が資本」ですが、保証が少ない非常勤講師の人は、より健康に気を付けましょう。
大学非常勤の道も考えてみる
中高の定年は60歳です。
しかし、大学の先生になると60代でも定年にならないところもあります。場合によっては、70代まで現役や客員で仕事が続けられます。
大学院を卒業して入れば、中高での仕事を辞め、大学での仕事をすることも可能です。しかし、学卒ではほとんど採用されることはありません。
大学で仕事がしたい、いずれは大学の教壇に立ちたいと思っているなら、早めに大学院、できれば博士課程まで取得しましょう。
博士課程は、社会人ドクターも不可能ではありません。
大学院を卒業した後、論文を書いて博士の資格を取ることをおすすめします。
特に不足しているのが「家政系」の大学です。
家政系は「理科」「社会」のどちらでも機会があります。
自分が持っている博士が大学の講義に役立ちそう、と思うようなところがあれば、教員募集サイトを大学まで広げてみましょう。
しかし、50代になってから迷っていると、あっという間に60歳になってしまいます。
大学で教えたい、ということが頭をよぎったら、できる限り早めに通信や放送大学で「大学院」を卒業しておきましょう。
まとめ:50代の非常勤講師は今本気で人生を考えるべき
専任教員、公務員、サラリーマンの配偶者となる非常勤講師は、あまり無理なあがきは止めましょう。理由は、国民年金だけの場合、年金受給額が少ないため、配偶者の扶養に入ることができます。
不明な時は「年金ネット」に登録し、自分がもらえる年金額をシミュレーションしてみましょう。
独身の場合は男女問わず、安定収入の期間を少しでも長く伸ばせるように、色々と画策してください。さらに、介護をする可能性がある場合は、行政のサービスなどもしっかりと調べ、いざという時に備えます。
不明なことは「家庭科」の先生に聞くと教えてもらえます。
50代の非常勤講師が考えることはたくさんあります。安定した副職を持つこともその一つです。少しでも、安定や保証、余裕のある生活のためにできることをやっておきましょう。
気軽にどうぞ♪