日本語教師の資格がかつての準国家資格から格上げされて、履歴書にもどうどうとかける国家資格として認定される流れになっています。
これはこれでとても良いことなのですが・・・。本当に安易な考えで日本語教師になるのは辞めておいた方が良いと思います。
前述したように例えどんなに資格が格上げされようにも食っていける仕事ではないからです。
男性は日本語教師を専業にするのだけはやめた方が良い。
まず、間違いなく止めようと思うのが男性の日本語教師で専任を狙おうという考えです。
若いうちの数年間、海外での国際経験をしてみたい!次の職場へとつなげてみたいというのでなければ国内の専任日本語教師を目指すのは辞めておきましょう。
- 非常勤の月収は平均16万円
- 常勤講師でも年収上限450万円
- 毎年生徒確保が大変で変動幅が大きい
この3つが主な理由です。
非常勤私立学校以上に待遇が悪い。
どこを調べても時給2000円は行くところはレアです。1日のコマ数は大体3~4コマ。午前3コマ、午後3コマで何とか日給1万です。(土日は入らない)
常勤でも年収450万の手取りは28万です。
これが下限ではなく上限ですよ?基本的にはそれ以下です。300万円代がずーっと続いて、教務主任やそれ以上。
教頭職についても400万程度だと思ってください。
実家暮らしで生涯独身のまま生きるのであれば何とでもなるかと思いますが、そのまま年を重ねるのは危険です。
都心部に一人暮らしをした方なら月に20万で生活するとかなりカツカツなはずです。
基本10年間は本当に貧乏で、1学校で週5日フルで入っている非常勤はほぼいないです。
土日の掛け持ちバイトで何とか300万を維持できるかできないかレベルです。
女性も収入の安定を求めるなら辞めた方が良い
女性も収入の安定を第一に求めるのなら避けた方が良いかと思います。家庭が安定しており副業バイトとして楽しむ。
週に数回やりがいをもって働きたいというのでなければかなり大変な思いをすることになります。
結構責任が重い仕事なので、他のバイト掛け持ちしようにも学校優先になってしまい、総収入は10万円代の女性非常勤講師が大半です。
長く続けて楽しんでいらっしゃるのは生活の安定した主婦講師です。
日本語教師が国家資格だと安定職だと勘違いするのは罠
国家資格は響きが良いです。
多分履歴書に書くと「へー日本語の国家資格!すごいんですねー」なんていわれることは容易に想像できます。
第一日本語教育能力検定試験だってかなり難しいですし、それなりの専門知識を持っていることの証明にはなると思います。
ただ、その資格があることと、安定した仕事が常に供給される市場にいることとは全く話が別です。
介護福祉士だって国家資格ですが、持っているからと言ってものすごい給料がもらえるわけではありません。
ただ、介護の方は常にニーズがあり、日本語教師はニーズがそこまで大きくないということが致命的に違います。
面接の際は確実に有利になるので、持っておいて損はないですが、国家資格=安定職ではないので気を付けて欲しいです。
資格ビジネスは儲かるのでそこに漬け込まれるのが怖い
420時間を作り、次に国家資格を作ると、作った側は儲かります。黙っていても毎年試験料と勉強・テキスト代が振り込まれるから。
英検・数検・漢検・TOEIC、何でもそうですが日本人は資格に弱いですが、本当に勉強して取るべきものなのか?
その後の人生設計まで考えた方が良いかと思います。
給料面以外にも日本語教師を辞めた方が良いと思える理由
給料面以外にも日本語教師を辞めておいた方が良いと思う理由もあります。これは業界全体の流れではないのですが、危険な面をお伝えします。
労働目的の外れ日本語学校に行くとストレスMax
学校の種類については事務職の方で言及しましたが、経営方針によっては悲惨な日本語学校が存在します。
- アジア人の労働予備軍の専門学校
- 日本人とアジア人の両方が通う専門学校
- アジア人中心で大学進学を目的とした学校
- 養成講座コースを併設した日本語学校
- 欧米人とアジア人ミックスの英語系日本語学校
- 大学での日本語科
1の学校だけはやめた方が良いです。本当に不法就労の隠れ蓑になっており、生徒も全くやる気がなく、配属されたら本当に精神を病みます。
異動がないので人間関係が崩れると居心地が悪い
公立学校では定期的な人材異動がありますが、私立学校と同じく日本語学校一校に属すると配置転換がありません。
学習塾と違い1年~2年間はビザで外国人は縛られるために、生徒の出入りも少ない業態です。
ここで人間関係がこじれると居場所がなくなってしまいます。
特に専任講師と関係が崩れると大変ですね・・。
教師の多くが女性なのでなんとなく気を使って仕事をしている先生を何度かみかけました。
労働者を守る仕組みが日本語学校に存在しない
これは何も日本語学校に限らず、私立学校に共通する点かと思いますが、労働者を守る仕組みが学校に入っていません。
大手企業のような産業面談医もいませんし、まともに機能している労働組合はありません。
公立学校は割と組合の力が強くてバランスを取っている面もありますが・・・そもそも存在しないというのは怖いと思います。
社会保障にしてもゆるゆるで、辞めた後のセーフティーネットがまずないはずです。
転職市場でつぶしが効かない
これも日本語学校ではなく、教師という仕事一般に当てはまるのかもしれませんが、転職の際に「日本語学校で○○」と書いても、一般企業には通じません。
実際、日本語教師は高スキルを持っていると個人的には思っていますが、なかなか簡単には評価してもらえません。
日本語文法が得意で「みんなの日本語教えられます」なんてPRしてもそれを欲しがる業界が少ないってことです。
ビジネス系の日本語学校は夜型の仕事で帰りが遅い
留学ビザや就学ビザで5時終わりというところであれば、そこまで深夜残業になることはないのですが・・・。
ビジネス系の学校では仕事終わりに通ってくる生徒も多いので必然的に労働時間が学習塾の講師のようになります。
7時⇒9時で、仕事終わるのが10時過ぎです。結構子育てしながらだですと大変な印象です。
教材とテスト作成時間に異常なほど時間がかかる
これはやりがいにもつながるので何とも言えませんが・・・。
養成講座時代に「絵カード」「文型カード」を手作りで作った方は、プライベートを恐ろしい程費やしたはずです。
教師になってからもこれは続きます。
最近は市販の教材および教具でも良いものがあるので学校が用意してくれている場合は最高ですが・・・。
いきなり新人で学校教材を使いまくれる先生はいません。
自腹で買うか、自力で作る。これ、本当に大変ですよ?
もう、中上級クラスになってくると「生教材」といって手作りの教材作成能力が否応なしに問われます。
新聞や雑誌を読み漁り切り抜きコピー。ネットを血眼になって探し、生徒のレベルに合わせて整えるだけで深夜が更けていきます。
これはこれで楽しいんですけど、無給ですから・・。
イベント駆り出しが多く、出勤手当が少ない
大きな日本語学校って遠足とか運動会とかあります。若いうちは楽しかったですが・・・。でも事務給しか発生しないし、言葉がうまく話せない外国人を連れての引率は大変です。
これもほとんどがボランティアです。
中上級クラスは受験指導が大変
後は一番大変なのが日本で1年以上たった中上級クラスの指導です。大体日本の生活にも慣れて、新鮮味も薄れることです。
バイトと学校の生活でつかれたまま、専門学校や大学受験に臨みますが、この指導もめちゃくちゃ大変です。
- 留学試験の過去問・・・センターレベル+α
- 国立大学入試の過去問・・外国人用問題がある
- 小論文や志望動機の添削・・・有名大はかなりの難易度
日本は外国人に大幅な学費減免措置をしているんですが・・・。多くの学生はお金の最もかからない国立大学を狙います。
その指導になると予備校教師さながら過去問の分析力が問われます。アジア人は現地の試験に失敗して留学するなんてケースも多く、高学歴を狙うのですが・・・。
なんというか・・実力に見合っていない・・。海外で一発逆転を夢見ても全然学力が足りず、そこでまたひと悶着おこります。
レアケースですが海外の大学をでて日本の大学に留学する生徒はものすごく優秀で、この教科を任せられる日本語教師ってなかなかいないです。
結構舐められるんですよ。こういう優秀な層には・・。
あいさつ代わりに出身大学聞いてきます(笑)これも向こうの文化です。
物理や数学を大学~大学院レベルまで見れる先生は本当に貴重・・・でもここまで勉強しても給料20万円代そこそこですよ?
私は教員時代留学試験もセンター試験も10年は解きましたし、外国人向けに編集しました・・。
無給で!!
それでも本当にやりますか?
海外日本語教師も帰ってから就活が大変
私自身海外の日本語教師をやっていましたのでこれは言えます。海外で働く日本語教師は帰ってからが大変です。
そもそも英語圏では修士がスタンダード。大卒では99%専任や常勤は不可能です。ビザが下りないので観光ビザやワーホリのビザを利用して働いてます。
さらに、数年ごとに更新があり、残っている人の多くは現地の人と結婚して永住ビザを取っているパターンです。(アジアの一部では結婚ビザでも長期残るのは難しい国も出てきました、政治がらみの問題もあるので現地の人はつぶやけません)
韓国や中国インドの月給は20万前後でカツカツ
募集が多いのがアジア圏の海外日本語教師です。現地の人と比べると2倍、3倍とありますが意外と生活はカツカツです。
ただ、現地の方も決して裕福な生活をしていないのでコンプレックスは感じないし、むしろ教師として敬意をもって接してくれるので、居心地が大です。
長期の正規雇用は本当に難易度が高い
母国の外国人教師の雇用を守るため日本人より優先的に採用されるケースも多いです。若いうちに楽しむなら良いですが、40代、50代になってからどうするのか?
きちんと考えてください。片言の中国語や韓国語が話せるだけの40代、50代では日本の就職ではそこまで有利にはならないです。
ITスキルなど汎用性の高いものを身に着けておくべきです。
40代からのフリーターはきついですよ?家族を養うとかはほとんどできないんじゃないかな?
貯金がなくて帰国しようともスキルもないし怖くてできない・・・それで中途半端にズルズルいきます。
楽しいだけについつい帰国を先延ばしにし、後からやばいことになるっていうのは海外生活あるあるですからね!
海外日本語教師は充実しているだけに怖いんですよ・・。若いうちなら本当に勉強にもなるんでそこはチャレンジして欲しいです。(ただし帰国して働くならそれを真剣に考えて!)
世界のロックダウンで生徒激減の現実は大きい
後はもうコロナですね。世界中がロックダウンです。ワクチン広まってもここ1~2年は厳しい状況が続くかと思います。
日本語学校有志による緊急調査(6団体参加)
良ーく見て欲しいのですが、外国人が必要とされているのって・・・
- 人数が足りなくなった日本の大学
- 介護・コンビニ・飲食
- その他高齢者がいない重労働
これですよ?それなのに外国人向けパンフレットには「日本の優良企業で働こう!」とか書いてあったりして矛盾が起きます。
日本の大学卒業をしてから一部上場企業などに入れる外国人枠がいかに少ないことか・・・・。まして日本語学校のみ卒業。N1程度ではきついバイトなんですよ。
不法就労問題は本当に外に出てこない。
外国人を非正規のブラックバイトに誘致するなんて日本政府が言えるわけないじゃないですか?
日本語教師を辞めとけ!と言いながらも救いはあると思う
とここまでネガティブなことを書いたのですが、他の方がおっしゃるように、日本語学校以外で日本語教師の力を活かせる場というのは存在します。
そう言う意味であれば日本語教師をやるというのは人生の時間配分を考えて選択肢としてはアリだと思います。
なによりこの仕事はやりがいはもありますし、外国人と一緒に授業を組み立てていくのは他の仕事では決して得られない充実感があります。
多国籍が集まる学校は毎日が深いつながりがある海外旅行のようなものです。楽しさだけは否定しません。
だから本当に困るんですよ・・。続けてしまって病気とか家族の問題がでてから取り返しがつかなくなる。
日本に好意的な感情を持ってくれる外国人指導にこそ政府はもっと補助金とか出して良いと思いますが・・・全く出ないんです(泣)
でも、救いはあると思っています。
- オンライン日本語教師
- 日本語教師の能力を活かしたビジネス講師
- 他の教育機関との掛け持ち
どんどん連携して外に出ていくべきだと思います。
そのためにもまずは身近なところで世界とつながれるITスキルだけは伸ばしておく。
20代ならコチラで無料の資格取得も可能です。
中高年でもチャンスはあります
中高年のためのプログラミング教室【TechGardenSchool】
そしていざという時に本当に人生が台無しにならないように、別の職業でも働けるような副業スキルを伸ばしておくことが重要だと思っています。
さらに、保険の意味でも別業界の転職事例は見ておくことが重要だと思います。
男性日本語教師が増え、社会的にも認知されてどんどん業界が良くなれば良いと心から願っていますが・・・。なかなかうまくいかない。
世界全体の構造や、日本の社会問題も含めて常日頃から注意していかないといけないと思います。
これが正直な気持ちです。
気軽にどうぞ♪